it's ALL right


so goodな毎日のつづき
by mizuki_n0314
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カテゴリ:short short story( 48 )

ショートショート:「も」もう、まだ

焦る時もある。
時間が流れるのが遅く感じる時もある。
空白の時が流れ、あれこれ想像して不安になることもある。
もうこんなに時間が経ったのに。私ばかり空回り。

ゆったりひとりで過ごしている時もある。
気付いたらあっという間に夜中になっていて、あー終わらない。
まだ時間はあるさゆっくり行こうぜ。私は心配されるくらい気が長い。

どちらにも日々ふりこのように揺れながら、時間としてきたことは堆積していく。
仕事みたいだが、焦った時は「半年前はこんな生活していたな」
「こんな関係だったな」と思い返す。
だいたい進んでいるから少しだけほっとする。
これも仕事みたいだが、気が長すぎている時はいろいろなタスクを
放置している傾向にあるので、とにかく行動。
やれば思わぬ展開が訪れるからこれも嬉しい。

両親が亡くなったのがともに52歳。
私の寿命が同じだとしたらあと私がこの世界で何かできるのも16年。
もちろん長生きできるようにしているつもりだけど、子どもの頃から一緒の妹たちはまだしも
大人になって出会ったふたりには短いと思った。
一緒にお誕生日をお祝いできるのは数えられるくらいなんだと。

もう1年、まだ1年。どちらの感覚も持っていたい。
ゆったりふたり糸を紡ぐように織り重ねていけたら。
それは、いつさようならが来ても「幸せだったよ」って思ってもらえるように。
もう、も、まだ、も胸に抱いてふたりの呼吸で日々を堆積させていきたい。

堆積なんて立派なものじゃなくて、彼も私もマイペースで忘れっぽいから、
「気付いたらそうだねー」くらいのことだけれど。

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by mizuki_n0314 | 2016-09-27 01:30 | short short story

ショートショート:「よ」4枚

夏は花火に行った。
家でDVDも観た。
話題の映画も観に行った。
おはようが言える。

昨年の夏と少しだけどちがう。

きれいだねー。
おいしいねー。
あ、そうそう、ここ、いいよねえー。
明日台風だからきついかも、ムリしないでね。

ブックフェアでへんてこな生物のシールを見つけた。
クスクスするやつだ。こういうクスクスグッズが好きな妹ふたりの分。
と彼の分もあわせて、4枚もらってきた。
みんなでクスクスした。

嬉しいことを伝えたい人、悲しい時弱音をもらしてしまう人、
たったひとりで寝ている具合の悪い夜が続き、胸に顔をうずめたい人。
いつの間にか、そんな人になっていた。

明日は彼がやってくる。ごはんを食べて笑うんだろうな。
甘えられる、喜ばせたくなる、そういう人が増えたのかもしれない。

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by mizuki_n0314 | 2016-09-24 01:18 | short short story

ショートショート:「お」おもしろくない話

夏が来て、気付けば終わりにさしかかっている。
おもしろい話ができる人が好きなのではなくて、
好きな人がするおもしろくない話が一番好きだ。

昨年の夏の終わりには実家の庭のすずむしが繁殖してエサ代がけっこう大変、とか
セロリを食べられるようになったからキライな食べ物がなくなった、とか話していた気がする。
今年の夏は土手に行って花火を見た。
視界が開けた快晴の土手で、やっぱりきっと他の人が聞いたらおもしろくない話をしていた。
これ降って来ているの灰だねー、なすが好きになったのは年かなあ、
あの学部はそういう人多いんだよねみんな何してるんだろ今。

どこに住んでいて、家族は何人で、仕事は何をしていて、収入はいくらくらいあって、
この先ふたりでどう計画的に生きて行こうか、そんなことはどうでもいいと私は思っている。
だから、好きな人がするおもしろくない話(最近おもしろい人なんだなあと思うけれど)が
ある時間がとても心が落ち着いて甘ったれられる時間なのだ。彼はどう感じているのだろう。
聞くことなんて今もこれからもきっとないんだろうな。
彼はとても繊細で聡明で、でもちょっぴりやんちゃな大人こどもだ。

ねえ、もうすぐ1年経つねえ。この調子じゃあっという間に2年経っちゃうねえ。
あなたが元気で笑って隣にいること、それはきっと続くんじゃないかな。
疲れた時はこの花火を見た土手の景色を見に来てね。おいしいごはん作って駅までお迎え行くから。

それくらいあなたのふところでころころ私は笑っているから。
いつもありがとう。あなたの好きな秋がもうすぐ来るね。
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by mizuki_n0314 | 2016-08-23 02:03 | short short story

ショートショート:「つ」繋がる

メールをしたり、
会ってのんびりしたり、
笑い合ったり、
それも彼との繋がり。
繋がっていたくて、その存在をたしかめたくて、
そうする。
彼に、どうしてと聞いたら、
そうしたいから。

でも、日々はめまぐるしく過ぎて行き、
器用貧乏な私に比べて、不器用でシャイな彼は
うまく言葉にならず、黙ってしまうこともある。
忙しいだけかもしれない。
彼が遠い気がして少しだけ不安になる。

そんなひとりの夜、本を読む。
彼を知る本。彼が今まで背負って来たもの、やっている仕事、
これからもっと、いつまでも元気で笑って居てくれるように。

彼は知らない。
いつかどこかで、これらをふわりまとった私に
安心感を持ってくれればそれがいい。

言葉に出す、態度に表す、連絡を取る、会う…それ以上のことができるように思う。
離れていても黙っていても明日のふたりのために、その先のふたりが笑えるように
そしてずっとずっと繋がって居られるように。

今夜もお疲れで即ベッドの彼がすやすや眠る時間に
私は彼を知りたくて本を読むのです。
終電が通り過ぎ、静かな住宅地。
窓から入る夜は冷える空気。

そんな晴れた梅雨の夜も悪くないものです。

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by mizuki_n0314 | 2016-06-15 01:03 | short short story

ショートショート:「の」野の花のように

あなたが楽しそうだ。
私に見せようと写真を撮って送ってくれる。
はじっこに写ったあなたの顔が微笑んでいる。
ただ、それだけで嬉しい。

あなたが忙しそうだ。
でも、大変とは言わずもくもく予定をこなし、
長い時間もものともせず働いている。
きっと本来のあなたの姿なのだ。

一緒に出かける事も少ない、目立つふたりではない、
歩みも遅く気付けば季節は変わっている。
でも、野の花のように、ひっそりと 咲き
誰ともない誰かの心を少しだけ清らにできたら嬉しい。
誰がどう言ってもわたしたちなりの幸せな日々だったらそれでいい。

散歩をすると土手から撮った川の写真をあなたに送る。
たいてい夕暮れ時で「きれいだねー」と返してくれる。
ただ、それだけがしあわせだ。

いつまで続くのか終わる日は近いのか永遠なのかは分からない。
でも、今はそんな日々が愛しく心は穏やかだ。

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by mizuki_n0314 | 2016-05-30 00:32 | short short story

ショートショート:「ほ」ほしいもの

大きな家もいらない。
指輪も高価なプレゼントもいらない。
旅行もいらない。
小さな部屋で本と少しの食事があればいい。

私はいちばんあなたとの暮らしがほしい。
ご家族が一緒だともっとにぎやかでいいよね。
あなたが笑い、ふたりがつましく暮らせるならば、ふたりの家族が健康で幸せならば、それ以上のものはなにもいらない。

あなたを真ん中に、広がるゆるやかな世界というものを私は好きなんだと思う。心地よいんだと思う。

あなたがふんわり笑い、ぱたぱたしながらも元気に働き、明日が来るのが怖くない日々。
私はあなたに何度も救われている。
ありがとうのかわりにおいしいごはんを食べさせてあげたいな。

これからどんなことがあるか分からないけれど、夏より少し元気になって春にこころ膨らませて過ごせるようにはなったかな。

桜のあとの、たっぷり緑の道をふたり歩こうね。

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by mizuki_n0314 | 2016-03-31 00:21 | short short story

ショートショート:「よ」余白

やっぱり私たちは日々時間を刻んで生きている。
その刻まれた時間にやるべきことが詰まっている。
やりたい思いも詰まっている、繋がっていたい人への思いも詰まっている。

大切な誰かを思うとき、不在の在が好きだ。
きっとこう思っていたのかもな、何を考えているのかな、
私の知らないこと、知らない体験、知らない嬉しさ悲しみたくさんあるんだろうな。
そうやってその誰かと離れている時に、いや、一緒の部屋で過ごしていてもいいのだけれど、
ふとした表情や仕草、いつもの口調を思い浮かべ愛しく思って眠るのだ。

オセロみたいに全部のマスを埋めて行くのは好きではない、大切な誰かを全部知れるとも
知りたいとも思わない。彼には彼の場所があるから。それはいつまであるか分からない。
そんなのどうでもよくなっちゃう時が来るのかもしれない。

でも、先を焦る私だから、彼には余白をあげたい。
忙しくて、自分のためだけの時間がなくて、自分のやりたいことより周囲の要請に応じがちな彼。
たまには自分の気の向くままに休日を、平日のわずかな時間を過ごしてほしい。
もともとはのんびり屋さんの彼だから、何しているのかな、何しようかな、
という余白の時をゆったり過ごしてほしい。
それで、私とほっこりしたいと思ってくれて、
たまにはまた一緒に美味しいねってごはんが食べられたら幸せだ。

それは、これからこれから。
いつも、これからこれから。

朝早く出勤したら朝日、だった。
彼はちゃんと早起きできたかな。
そう思う朝はこれから、に満ちていた。

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by mizuki_n0314 | 2016-03-01 02:04 | short short story

ショートショート:「ひ」ひとりあまったものたち

また雨の休日だった。
待ち合わせにふたり早く着きすぎて、ふたり別々に街を歩いていた。
なあんだ、そうだったんだね、と始まる
夏の終わりとは少し違った、少しだけ慣れた待ち合わせ。

いつもひとつ足りない、いつもひとり余る。
ひとりは楽だ、でもひとりはさびしい。
組みになりたい、でもめんどうくさいこともある。

みんなみんな余りものなのかもしれない。私も彼も。
誰とも組みになれなかったふたり、こうやって
そぼ降る雨の日に並んで居るのかもしれない。

どこにもだれひとり余りなんて居ないのかもしれない。
私と彼がこうやってふたり仲良く安い台湾料理を食べて笑っているように。

どこかで、足りない何かを探しているのかもしれない。
私も彼も、どこかもう少し、ふっくらした気持ちで居られるところ、
光を感じることを探して彷徨っているのかもしれない。
私たちだけでなくて、他にもそういう人たちがいるのかもしれない。
ひとりあまったものたち。

帰りは春先の嵐だった。
ビニール傘の彼は、後から来たお客さんのたくさんのビニール傘にまぎれて
どれが自分のだか分からなくなってしまった。たぶん、これ、かな。

私がこわがっているほどは彼はあんまり気にしていない。
私が思っているよりは彼は嬉しいのかもしれない。
ひとりとひとりがふたりになるとじたばたもする。
でもこうやってうごめいて、やがて春が来るんだな、と
少しぬるい風を感じながら、桜が散った道を歩くふたりを思い浮かべた。

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by mizuki_n0314 | 2016-02-23 20:29 | short short story

ショートショート:「き」傷

まだできる、もうムリだ。
はつらつとしていたい、力がどうしても出ない。
明るい気持ちになれる時が好きだ、
ひとり沈むことに住処を見つけることもある。
振り子のように行ったり来たり。

毎日冷たい風が頬をなぞるように傷は日々薄く募って行く。
それは嵐が去り、人が去った後のよう。
心の底から声を絞り出しても掠れ声。

もう少し、もう少し、時間はかかっても。
あなたは、疲れた羽を休めて次また静かに地上を離れて飛べるように。
私は、あなたを信じていくつものひとりの夜を越えることができるように。

ゆっくりゆったり。
関わるみんなを幸せにできるふたりになりたいね。

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by mizuki_n0314 | 2015-11-23 00:51 | short short story

ショートショート:「よ」夜の便り

おもてに出る言葉ってごく一部なんだと思う。
嬉しいことも、励みになることも、責任を感じることも、
もどかしく思うことも、自分の力のなさに肩を落とすこともあるだろう。

「今週は長かったねえ」と一言、大きな息をつくあなたは、
きっとたくさんのそんなときを越えて、ここまで辿り着いたのだろう。
アラがあったり、うまくできなかったりでもいい。
何がホントで自分がどこに立っていればいいのか
どこへ向かうのかすら分からないような世界の中で、着実に積み重ねていられること。
それは強さだから。たしかなものがあるから。
それを信じているから。

夜にひとことふたことの便りが届くのが嬉しい。
疲れたねえ、あと1日だね、空がきれいだった、
夜をたゆたって、ほのかにあたたかな気持ちで眠りにつけるのは
秋の夜長の少しのぜいたくなのです。

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by mizuki_n0314 | 2015-10-29 02:29 | short short story


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